有識者による知と教養のWeb本です。
本書では、幅広い分野の時事ワードを解説すること、教養知識を深堀りすること、そして実際の講義まで、多種多様なコンテンツについて「考えるヒント」(ひとつの木)をご提示します。「学びの森」へようこそ!
掲載日:2021.07.20
DX(ディーエックス)とは、デジタルトランスフォーメーション(=Digital Transformation)の略称である。事業活動で用いられることが多いが、特定の組織や社会活動を、デジタルテクノロジーを駆使して、大きくそのビジネスモデルや位置付け、組織形態などまで含めて文字通り転換させることを意味する概念である。リアルだった接点がデジタルにとって代わっただけのものはDXとは呼ばないのである。
つまり、従業員向けに業務用システムを導入する等、「単にデジタルを仕事の工程に入れる」ということだけでは、厳密にはDXではない(この場合はデジタル化と呼ぶ)。
例えば、小売店をネットスーパーにし、商品をWEB上で買えるということだけではなく、小売店時代ではできなかった定期購入といった売り方や、これまでは得られなかったデータを活かした新商品開発にまでいたってしまう等のような変化が、デジタルによって引き起こされるという点がポイントになる。
DXは2004年頃にヨーロッパで誕生した概念と言われているが、日本では特にコロナ禍を契機に、業態やワークスタイルの転換が必要になったことで注目が集まった。
それにより、急速にバズワードとして浸透しているが、単なるデジタル化とは別物である点を留意しておく必要がある。そして、一方で経営の手段として、DXが最適なのか、デジタル化まででいいのかも含めて、最適な距離感をつかんでいくことが重要である。